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「ウェルビーイング休暇」という新発想

  • 1月30日
  • 読了時間: 4分

真の休息が企業価値を高める時代へ


従業員のウェルビーイング向上が経営課題となる中、「休暇」のあり方を見直す動きが始まっています。

米国の金融機関バンク・アイオワで人事部長を務めるジル・シェデック氏は、「ウェルビーイング・アワーズ」という新たな制度を導入しました。

これは単なる有給休暇(PTO)ではありません。“自分自身のために使う時間”を明確に保障する制度です。



有給休暇は「ある」のに「使われない」

調査によると、米国労働者の約半数が年間の有給休暇を使い切っていないと回答しています。

さらに、休暇を取得しても

  • 子どもの世話

  • 家族の介護

  • 家事の処理

に充てられ、「自分の回復」に使われないケースが多いのが実態です。

その結果、バーンアウト(燃え尽き症候群)が発生します。大学研究者の推計では、バーンアウトによる損失は従業員1人あたり約2万1000ドルにも上るとされています。

休暇があっても回復できない。これが現代型バーンアウトの背景です。


「心理的デタッチメント」の重要性

専門家は、仕事から意識を切り離すことを「心理的デタッチメント」と呼びます。

これは単なる“休み”ではなく、

  • ストレス回復

  • 記憶力向上

  • 感情の安定

につながる重要なプロセスです。

しかし常時オンラインの働き方や在宅勤務の普及により、仕事と私生活の境界は曖昧になっています。

「物理的に席を離れる」だけでは、真の休息は得られない時代なのです。


ウェルビーイング・アワーズという実践

そこでバンク・アイオワが導入したのが、

既存の有給休暇とは別枠で付与される“ウェルビーイング専用時間”です。

この制度のポイントは、

  • フルタイム・パート双方に付与

  • セルフケア目的に限定

  • 趣味、通院、リフレッシュなどに使用可

  • 「使ってよい」と明確に許可する文化設計

導入後9カ月で、付与時間の52%が活用されました。

重要なのは、「休むこと」を個人的な贅沢ではなく、責任ある行動・リーダーシップの一部として再定義したことです。


共感の文化が企業を守る

共感に欠ける職場は、離職リスクを高めます。

ある調査では、共感不足による離職リスクは年間約1800億ドル規模とも推定されています。

従業員が

  • 個人として尊重されている

  • 仕事以外の人生も大切にされている

と感じられる文化は、エンゲージメントの土台になります。

ウェルビーイング・アワーズは、抽象的な「共感」を、具体的な制度へと変換した好例と言えるでしょう。


導入の第一歩は「従業員の声」

制度設計において重要なのは、トップダウンではなく従業員の声を聞くことです。

例えば:

  • ウェルネス時間があれば利用したいか

  • 生産性向上につながると思うか

  • どのような用途に使いたいか

定量データだけでなく、マネージャーの観察や定性的な声もKPIに含めることが推奨されています。

幸福度は数字だけでは測れません。



ウェルビーイング四国の視点

私たち一般社団法人ウェルビーイング四国では、ウェルビーイングを「人材定着の施策」ではなく、経営戦略そのもの」と捉えています。


休暇制度の再設計は、

  • バーンアウト防止

  • 生産性向上

  • 離職率低減

  • 組織の信頼構築

につながる重要な取り組みです。


日本企業においても、

  • 有給休暇の取得率

  • 実質的な回復度

  • 心理的デタッチメントの確保

を再点検する時期に来ています。


「休む」ことは、攻めの経営

未消化の有給休暇は、単なる消化率の問題ではありません。

それは、組織の疲労度を示すサインかもしれません。

ウェルビーイング休暇という新発想は、「休ませる経営」ではなく「回復力を高める経営」への転換です。

従業員の真の休息が、企業の持続的成長を支える。

その視点を、今こそ経営の中核に据える必要があります。

ウェルビーイング四国では、地域企業の実情に合わせたウェルビーイング経営の実践支援を行っています。

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